INBOUND 2018レポート キーノート編

毎年、HubSpot社が主催するINBOUNDでは、各業界の著名人らを招いて行われるキーノートに注目が集まっています。その中でもHubSpotパートナーでもある私達が最も注目をするのが、HubSpot共同設立者であるCEO ブライアン・ハリガンとCTOであるダーメッシュ・シャーによるキーノートです。

INBOUND 2018のダイジェストはこちらの記事をご覧ください。
https://blog.pensees.co.jp/inbound-2018-digest

1.ブライアン・ハリガン:フライウィール

毎年、ブライアンからは現在のマーケティング動向と合わせて、HubSpotの製品アップデート情報がシェアされます。
しかし、今年のキーノートは、多くの参加者の心を大きく動かす内容となっていました!ブライアン自身が長年、唱えていた従来のマーケティングファネルの考え方を否定したのです!私自身、マーケティングの基礎をマーケティングファネルの考え方から学んだこともあり、驚かされました。

"マーケティングファネル"から"フライウィール"へ

マーケティングファネルとは、商品やサービスを多くの見込み顧客に認知してもらい、最終的に購買にいたるまで顧客を絞り込んでいく過程を説明したものです。ブライアンは、この古いマーケティングファネルの考え方は、企業の成長のために最適化されていないというのです。

マーケターや営業からの情報を信用すると回答した人は、わずか5パーセント。
マーケターや営業担当者は信頼されない時代であることを示しています。

実際に、HubSpotのお客様へのアンケート結果です。
33%のHubSpotユーザーは友人や知り合いからの口コミがきっかけでHubSpotを購入しています。

つまり、顧客の購買プロセスに関わる多くの要素が日々信頼性を失っているため、"口コミ"が、今後何よりも重要な要素になるということを示しています。ですが、従来のマーケティングファネルの考え方は、一度顧客化したらマーケティング活動が終わってしまいます。顧客化することがゴールになってしまい、既存顧客をどのように満足させるのかが考慮されていません。

そこで、ブライアンが新たに提唱しているのが、"フライウィール"です。

フライウィールは、ビジネスを成長させるための顧客中心に考えられた循環的なプロセスです。企業は、ビジネスを成長させるためにも、フライウィールをどのように回転させるのかを考える必要があります。効果的にフライウィールを回転させるためのポイントをまとめました。

2.フライウィールを動作させるために重要な3つの要素

各ステージに加える力

Attract、Engage、Delightに力を加えることで、フライウィールが回転します。企業は、どこのステージで、どれぐらいの力(企業側の活動)を加えるのかを見直す必要があります。

Atttract:適切な人に適切なタイミングで適切なコンテンツを提供し、コミュニケーションを図るステージ
Engage:顧客の目的や課題が何か分析し、解決策を提供することで、長期的な関係性を図り、信頼を構築するステージ
Delight:顧客が目的を達成し、自社の製品を他人に進めてもらえるような素晴らしい経験を提供するステージ

ブライアンは、現代のマーケティング担当者は、ビジネスを維持し企業を成長するためにも、もっとカスタマーサポートに注力する必要があると語ります。顧客のクロージングに集中するのではなく、マーケティングや営業にかける力を少しでもカスタマーサポートにシフトさせることが2019年、2020年の重要な鍵となります。特に多くの日本企業は、新規顧客獲得のために、伝統的な営業部門やマーケティング部門に力を入れていることが多いはずです。

ですが、既存顧客であればお互いに理解したことを前提で進めることが出来ます。アップセルやクロスセルに繋がることもあります。その場合には以前の通りに商品やサービスを提供すればよく、要領も得ているので能率的効率的に作業が行えるはずです。また、新規顧客を1人獲得するよりも既存顧客を1人維持する方が営業コストも低いです。

低い摩擦力

フライングウィールの回転を邪魔するのは、「摩擦(=顧客体験を邪魔するもの)」です。以前までは、製品が競合よりも優れていないと売れない時代でした。ですが、現在は顧客体験が競合よりも優れていることが重要となります。例えば、顧客体験を向上させるためにも「製品の体験/トライアルを提供する」、「問い合わせに対して、チャットツールで自動返答を24時間で行う仕組みを作る」、「わかりやすい料金体系」など、顧客視点で自社のサービスを見直してみてください。

高いクオリティで拡張性のある構造

Attract→Engage→Delightの流れを高いクオリティで循環させるためには、ソフトウェアやツールの利用が必要不可欠になります。今回のHubSpotの製品アップデートにより、マーケティング、セールス、カスタマーサービスで利用可能な全ての機能が整いました。実は、顧客になってもらった後の顧客体験が重要であるか、顧客化して満足してはいけないという考え方は、HubSpotが提唱しているインバウンドマーケティングの考え方にずっと存在していました。ついに、HubSpotが長い間唱えていたインバウンドマーケティングを運用するための機能が全て揃ったように感じます。

もう少し詳しく知りたい方は、実際のブライアンによるキーノートの様子を確認できます。

3.ダーメッシュ・シャー:カスタマーコード

HubSpotの共同設立者であるダーメッシュによるキーノートは、ブライアンのキーノートを超えるほど参加者を魅了していたように感じます。ダーメッシュは自身のキャリアの中で、一番の学びは、HubSpot社が掲げる128ページに及ぶカルチャーコードにあったと語ります。

「単に顧客を満足させるのではなく、顧客を喜ばせよう。ゴールはカスタマーの成功である。」というカルチャーコードです。ですがダーメッシュは、HubSpotはこちらのカルチャーコードを実現できていなかったのではないかと語ります。顧客ファーストに動くのは決して簡単なことではありません。HubSpotのように、顧客ファーストを掲げている企業でも、つい企業・サービス視点に偏ってしまいます。そこでダーメッシュは、顧客ファーストに掲げた顧客と企業の関係性を表すカスタマーコードを発表しました。カスタマーコード作成にあたり、ダーメッシュと調査チームは様々な調査を行いました。その中で、顧客体験をより良いものにするために重要な5つのポイントを明らかにしました。自社の製品やサービスと比較して、読んでください。

1.時間を取らずに、顧客の興味を引くこと
インバウンドマーケティングの基本でもありますが、自身のタイミングで電話やEmailを送るのではなく、本当に必要な情報を必要なタイミングで提供してください。一方的なコミュニケーションは、もはやスパムと同様です。HubSpotの調査によると、顧客が望んでいないタイミングや情報で営業を受けたとしても、85%の顧客は商品を買わないというデータがあります。ではどのようにタイミングを知るのか、HubSpotのようなMAツールを利用して、分析しましょう。

2.企業のプロセスでなく、顧客の購入プロセスに従うこと
企業側が望むプロセスを顧客が望むわけではありません。

3.自分の間違いをすぐに認める
当たり前のことではありますが、企業側が間違いを犯した場合は、すぐに謝罪するようにしてください。

4. 価格をフェアかつ明らかにする
顧客は、自身が試されていると気づくと、購買意欲を失くします。価格設定は、理解しやすく、誰も平等な価格にしてください。HubSpotの調査によると、顧客の75%は、企業が価格情報を公表していない場合は、すぐに別の会社やサービスを探すという結果が出ています。

5.キャンセルをスムーズに
解約を減らすために、設計されたウェブサイトや購買プロセスを見かけることがあります。HubSpotの調査によると、キャンセルが購買と同様にわかりやすく設計されているサービスである必要があります。89%の顧客は、キャンセルが簡単なサービスの方が購買する可能性が高いと答えています。ワンクリックでキャンセルできるような仕組みが理想です。

実はダーメッシュは全部で10個のチェック項目を用意してくれています。 一度、HubSpotが公開する10個のカスタマーコードと自社の状況を比較してみてください。HS_report card

もう少し詳しく知りたい方は、実際のダーメッシュによるキーノートの様子を確認できます。

4.最後に

企業が成長をするために必要なことは、「顧客にとって、正しいことをすること。」とダーメッシュは語りました。常に顧客ファーストで行動することは簡単なことではありませんが、フライウィールを効果的に回転させるための一番の動力は、どれだけ顧客視点でマーケティング活動を行えるのかではないでしょうか。もはや、マーケティングだけでなく、営業担当者も自分の営業が一方的なコミュニケーションになっていないか考える必要がありそうです。

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